超選挙大戦で行われる論説戦は、自分達が正しいと考え意見をぶつけ合う、言葉のみの戦いです。しかしそこには明確な勝敗の線引がなく、観客にとってはどちらに投票すべきか分からないこともあります。この問題を解決するのが、神撫学園の『イシリアルシステム』です。 　 超選挙大戦の選挙期間中は、全ての立候補者が使用できるイシリアルシステムというものが導入されます。これは各立候補者やその支援者の思考パターンを読み取り、彼等が望むように立体映像、ホログラフを投影できる装置です。立候補者は議論を行うだけでなく、これを用いて炎や雷など迫力のエフェクトを使い、有権者に対し強烈なアピールをすることができます。もちろんこれは、実際にそういった物理現象が起きているわけではなく、あくまでシステムによって映し出されるホログラフでしかないので、実際に火事や台風の被害が出ることはありません。しかしシステムが影響する空間に入った人間にとっては、これらのホログラフは現実とほとんど区別の出来ない段階の認識が可能であり、システムとの同調によっては触れたときの感覚すらもリアルに表現できます。使用後は疲労感などが残る場合もありますが、基本的に身体に悪影響を与えることはありません。 　 この演出は決選投票での論説戦にとどまらず、選挙期間中にも演説などに使用できるよう常時起動しています。論説戦の最中、イシリアルシステムはお互いの候補者や支援者の心理状態を随時スキャンし、ホログラフの動きに反映します。ホログラフはどちらが優勢となっているかを判断する材料になるだけでなく、ともすれば膠着しがちな議論を積極的に推し進める力にもなります。決選投票ではこの論説戦を見て、自分達が信頼できると考えた候補者へと学生が票を投じるのです。